Outcomes Over Outputのロジックモデルを使って「もし○○があれば、△△になるだろう」を見立てる

「ソフトウェア開発ファシリテーション」アドベントカレンダー19日目の記事です。

今日のお題のロジックモデルはOutcomes Over Outputという書籍で紹介されていたものです。

『成果物(Output)』ではなく『成果(Outcomes)』を指標にしよう、ということなのですが、この書籍で紹介されているロジックモデルが非常にシンプルで使い勝手が良いのでご紹介したいと思いました。

このロジックモデルではリソースからインパクトに至るまでのステップを5つの段階に分けます。「どのようなインパクトを得たいのか」というところから、そのインパクトを起こすための資源、活動、成果物、直近の価値をロジカルに繋げることが目的です。

  • Impacts(インパクト):成果の累積による社会的、ビジネス的なインパクト。長期的な指標。
  • Outcomes(成果):個人または集団の行動変化で、観察・測定可能なもの。短期・中期的な指標。
  • Outputs(成果物):活動の結果作られるモノまたはサービス。
  • Activities(活動):成果物を生み出すためにする活動。
  • Resources(資源):活動のために必要な資源。

例えば「このロジックモデルを導入すれば(IF)成果の出ないプロジェクトがなくなる(THEN)」をモデルにしてみると、以下の図のようになります。

図では「ロジックモデルを導入すれば」をOutputsに、「成果の出ないプロジェクトがなくなる」をImpactsにあてはめています。それぞれをあてはめた上で、空白になっている箇所を埋めていきます。

ロジックモデルを導入することによって成果の出ないプロジェクトがなくなるとして、ロジックモデル導入で直近起こりうることは何か?と考えたときに、図では「計測指標が明確になって」「開発機能検討がロジカルになり」「成果を出す機能のみが開発されるようになる」から「成果の出ないプロジェクトがなくなる」と整理しています。あわせて計測指標も明確化しておくと、本当にそのロジックで物事が進んでいるのかをふりかえりやすくなります。実際に動き出すまではあくまで仮説なので、仮説検証型でこのモデルを精緻化していくことがロジックモデルを活用するポイントになります。

状況によってはこのTHENをOutcomesにあてはめた方が整理が進む場合もあるかも知れません。例えば広報施策として技術ブログを開設するとして、直近の成果としては応募者ミスマッチの減少や採用者数増を狙っているけれども、本当にそれだけが目的なのか、ビジョンは何なのか、というときにImpactsの部分を空白にして考えてみる、といった使い方です。

シンプルなわりにパワフルなモデルなので、日々のミーティングにも使いやすいモデルかなと思います。ぜひ活用してみてください。