その人のおかれている構造が言葉をつくる

「ソフトウェア開発ファシリテーション」アドベントカレンダー8日目の記事です。

目の前の人間と話しているときには、その人本人と話しているのか、はたまたその人のおかれている構造と話しているのかに留意しなくてはならない。

by わたし

人と話すことって、本当に難しいな〜と思います。

よくポジショントークと言いますが、「その人のおかれている立場だったら、そう言わざるを得ないよね」というケースはあるあるですよね。

なぜポジショントークが生まれてしまうのか?というと、そこに利害関係があるから

「これを言ったら自分が不利になる」

そんな打算がポジショントークを生むんだと思います。

特定の技術でマウントを取ったりすることも、ポジショントークの一環かも知れません。

そんな状況の例として「ソフトウェア開発に対するセカンドオピニオンを頼まれたITコンサルを取り巻く図」をスライドとして起こしたのが、今日のアイキャッチスライドになります。

セキュリティでも開発プロセスでも何でもいいですが、セカンドオピニオンを頼まれたITコンサルの立場としては手放しでOKは出せない、というのがこの構造の引力です。何らか指摘をしておかないと発注者から無能扱いされかねませんからね。不安だからセカンドオピニオンを頼んでいるのに、どういうこと?ってなりますからね。

結果としてITコンサルはちょっとトゲのあることを言わなければならず、トゲのあることを言われたソフトウェア開発会社は依頼主に不信感を抱き、依頼主も開発会社を信用できなくなり・・・と、構造が話す言葉に実態が引き寄せられてしまう、という点が恐ろしいところです。

そういうわけで、ファシリテーションを進める立場としては「人が話している言葉」なのか「構造が話している言葉」なのかを聞き分けなくてはいけません。構造が良くない方に引力を持っているとすれば、対峙するべきはその構造だからです。

この考え方を扱っているのはシステム思考というジャンルなので、もし興味ある方は書籍もどうぞ。