プログラマとしてのファシリテーション

この記事はファシリテーター Advent Calendar 21日目の記事です。

これまでを振り返ってみても、今年はとても衝撃的なことがあったのです。

これまでプログラマとしてソフトウェア開発の仕事をしてきていると自分の中では考えていて、基本的にそう振舞ってきたのですが、初夏に差し掛かろうとする気持ちの良いある日のこと

「西見さんってファシリテーターですよね?」

と、そう言われたわけです。

「私はファシリテーターだと思われていたのか・・・!」

というのも衝撃的ではあったのですが、ファシリテータとしての帽子を被っていることは確かにあるし、そもそもソフトウェア開発の話を進める場を、自分がどのように考えているのか、改めて考えるきっかけになったのでした。

「場」にどう関わるか

申し遅れました。そもそものコンテキストを共有していないですよね。私は普段「顧問プログラマ」というお仕事をしております。顧問プログラマとは、ソフトウェアを実装するプログラマその人が直接お客様と話しながら、会話の場でお客様と一緒に仕様の作成、設計を進め、お客様と二人三脚でソフトウェアを開発する人のことを指します。こういう関係ですと、ソフトウェアを一緒に作っていく上での悩み事などいつでも直接相談できる関係になれるので、「顧問」というわけです。

ただ、初めからスムーズにソフトウェア開発を進められる訳ではありません。開発を前進させるために何から考えるべきか? それをどうディスカッションの場に持ち込むべきか、そういうことがまず難しいわけです。

なので、最初の仕事は「そういう話ができる場」をつくることになります。

どういう表現をすればお互いにお互いの言葉が通じ合うのか、それが分からない中では何を話しても前進しませんよね?

「まずはソフトウェア開発の話ができる場を作りましょう!」と明示的に進めるわけではないのですが、やろうとしていることの話を聞いたり、その話を受けて専門家としての知見をお伝えするやり取りの中で、自然と言葉を調整しながら、理解を試しながら形作っていくものになります。

(場がつくられていない段階で次に進むと、だいたいおかしなことになります。これは経験則でしかないですが……)

形作られた次の段階として、具体的な話を進めるフェーズになります。ここでの関わり方を振り返ると、ファシリテータとしての関わりが見えてくるな、と思いました。

これから作ろうとしているソフトウェアはあくまでお客様のものですから、お客様の中からビジョンを引き出す必要があると、顧問プログラマとしての立場の私は考えています。なので、ビジョン・ミッションを考える場ではファシリテータの帽子を被っているな、と。

ビジョンだけ考えていても、もちろん開発は進みませんから、具体的に何かを形作る場ではプログラマとして場に関わって、グイグイと専門家として具体化していきます。

そこから場はループする、と図では書いています。ソフトウェアは継続的にアップデートしていくものですから、様々なフィードバックを取り入れながら改めて開発のスタンスや方向性を確認したり、優先順位を考えていきます。抽象と具体を行き来しながらソフトウェア開発という旅路を一緒に歩んでいくわけです。

専門性とファシリテーション

ここまで考えて、こうした専門性とファシリテーションのコンビネーションの話は、アドベントカレンダー17日目の山岸さんのお話にも通じるなと思いました。ものづくりの現場では、ファシリテータという名前がついていない人もこんな形の動きをするものかもしれませんね。

……と、ファシリテーションが本職の方ばかりのアドベントカレンダーでプログラマとしての話をするのも恐縮だったのですが、来年はファシリテータgaoryuさんの弟子になるということもありまして、まぁ良いかなとw

シメの言葉になりますが、こうしたビジョンをインテグレーションしながらソフトウェアを開発していくアプローチについて、来年はより深く考えていく年にしたいなと考えております。興味のある方、お気軽にコンタクトしてくださいね。