Acerから新しいChromebookが今年の9月から出荷されるらしい。安いだけがウリかと思っていたChromebookだけれども、この新しいChromebookを見て、少し考えが変わった気がする。
Acer Chromebook 13の特徴
まずAcerから新しく出荷されるChromebook 13の特徴を列挙してみたい。
- 低解像度1366×768モデル
- SSD 16GB / RAM 2GB / 13時間連続駆動可能 / 約2万9000円
- 高解像度1920×1080モデル
- SSD 16GB / RAM 2GB / 11時間連続駆動可能 / 約3万円
- 高解像度1920×1080ハイスペックモデル
- SSD 32GB / RAM 4GB / 11時間連続駆動可能 / 約3万9000円
CPUは全ラインナップ共通でNVIDIA Tegra K1(クアッドコア2.1GHz)。本体サイズは幅x奥行きx高さ=327x228x18mm、重量は1.5kgで、サイズ・重量共にMacbook Pro Retina 13inchと大体同じぐらい(Macbook Pro Retina 13inchは幅x奥行きx高さ=314x219x18mmで、重量が1.57kg)。USB3.0ポートはもちろんのこと、HDMIポートもついているので外部画面出力も可能。当然ウェブカメラもついている。
さすがにエントリースペックモデルでは物足りなくなさそうだけども、ハイスペックモデルなら僕でも普段使いできそうな感じがする。
「必要なときだけ必要なものを使う」ことが、より当たり前に
そんなChromebookの最大の特徴はChrome OSであり、PC自体は単なる人間とのインターフェースに過ぎず、アプリケーションの実体は全てWebにあるというアーキテクチャだ。とはいっても常に通信を行う訳ではなく、アプリケーション自体はPCにキャッシュされ、適時必要なときに通信を行う仕組みになっている。
全てのアプリケーションはオンラインで提供されるので、常に最新のものが使える。PCに無駄なソフトウェアがたくさん入ることもないので、起動もめちゃめちゃ早い。Chromebook 13なら8秒で起動する。
全てのアプリケーションがオンラインで提供されるということは、つまり「必要に応じて使用し、使用した時間に応じて対価を支払う」というモデルも完全に実現されるということだ。今でさえAdobeはCreative Cloudという形で月額課金型でPhotoshopなどの高価なツールを使えるサービスを提供しているが、そもそもはソフトウェアのコピーをめちゃめちゃ高い値段で売っていた。人によっては年に数回しか使わないかも知れないし、毎日13時間開きっぱなしかも知れないのに関わらず。使用した時間に応じて対価を支払うというモデルが実現されるということは、今までは普通の人には触れることも許されなかったものを「ちょっとだけ使う」ことができるようになるということに等しい。ASPだのSaaSだの言われているモデルがもっと強力に推進されるということだ。
これが普及するとどうなるか
しかるべきソフトウェアが揃えば、値段の安さも手伝ってめちゃめちゃ普及するのではないかと、個人的には思っている。ここでは一旦普及すると仮定したい。
ハイスペックモデルでも3万9000円で、これはほぼPlayStation4と同じ値段(今調べたら4万円ぐらいで売ってた)。イマドキの子供がプレステを欲しがるのかどうかは分からないけど、今自分の子供に「どっちか欲しい!」って言われたら、間違いなくChromebookを買う。プレステにはディスプレイがついていないけど、Chromebookにはついているからね。
そんなこんなで子供が自分と同じようにソフトウェアを作ることに興味を持つとして、手元にはChromebookがあるとする。JavaScriptで開発するのかDartで開発するのか知らないけど、そのあたりの言語を使うとして、開発環境はどうなるんだろう? 恐らくvimでも、emacsでも、sublimeでも、visual studioでもない、Web上のIDEか、エディタなんだろう(このあたりのアプリがChromeOSに移植される可能性はあるけど・・・)。更にファイルを扱うためのシェルは? それはbashでもzshでもpowershellでもなくて、恐らくクラウド上にあるファイルを操作するためのシェルを使うんだろう。
昔からプログラミングをやってきた人も、今からやろうと思う人も、大体同じような環境で開発をすると思うのだけど、Chromebookから入った子供たちは全然違う環境でスタートするんだろうなーと想像する。恐らく基本となるアーキテクチャに対する考え方が、最初から違うんだろうな。もはや、まともに話ができる気がしない・・・。
そういう訳でChromebookが本当に普及したとしたら、世代間の常識の断絶が今までよりもずっと激しいものになる気がしていて、その点にワクワクが隠し切れない。更にそういう状況下にある自分の子供がどういう風になっていくかがとても楽しみなのでした。結果が出るのは今から20年後ぐらい? そのとき自分の歳は・・・うーむ・・・。