30歳を迎えて、仕事でも技術でも、様々なことを明文化する必要に迫られることが多くなってきた気がしました。今までやってきたことを分かりやすくいろいろな人に伝えていく技術というのは、どんな場所でも必要とされています。
より良い学習のためのパターン「ラーニング・パターン」
「明文化」というプロセスは、綺麗にドキュメントしたので後は読んでおいてね、という性質のものではなく、「教育」のプロセスの一環だと僕は捉えています。
ソフトウェア開発で言えば、たとえばシステム運用のドキュメント。どういったミドルウェアを使用しているか?といった整理の意味もありますが、そもそもの目的としては、それを読んだ人が対象のシステムを理解して運用できることを目的としているはずです。そのためには対象のシステムを運用するために必要な知識/技術がきちんと相手に伝わらなければなりません。
これは対象のシステムに対する、「教育」プロセスの一環です。目的は「対象のシステムを理解して運用できること」なので、必ずしもドキュメントだけで完結させる必要はなく、むしろ完結させないような仕組みにしておいた方が、効率よく「教育」プロセスが回るのではないかと考えています。
つまり「教育」プロセスをより円滑に回すために「明文化」というプロセスが存在している、と僕は捉えています。
そんな背景からラーニング・パターンという共通言語に当初着目しました。
ラーニング・パターンは、自律的で創造的な学び方のコツをパターン・ランゲージという形式でまとめたものです。どのような状況でどのような問題が生じやすく、それをどのように解決すればよいのかの発想がまとめられています。このようなコツを「言語」として共有することで、個人の自律的で創造的な学びの支援と、学びのコミュニティの活性化を目指しています。
ラーニング・パターンを追ううちに、状況に応じて整理されているリストなどを見るうちに、こういった整理を実現しているそもそもの技術「パターン・ランゲージ」に興味がわきました。
自分でもパターン・ランゲージをつくってみたい
パターン・ランゲージとはいきいきとした全体を実現するための共通言語のことらしいです。
パターン・ランゲージは、建築家のクリストファー・アレグザンダーが提唱した知識記述の方法です。アレグザンダーは、建物や街の形態に繰り返し現れる法則性を「パターン」と呼び、それを「言語」(ランゲージ)として記述・共有する方法を考案しました。彼が目指したのは、街や建物のデザインについての共通言語をつくり、誰もがデザインのプロセスに参加できるようにすることでした。(パターン・ランゲージの考え方)
「全体を部分に分けて、部分部分を上手くとらえた総和が全体の理解である」というのが西洋近代の科学のとらえ方ですが、「全体を全体そのものとして上手くとらえるということができないといきいきさが失われてしまう」という課題意識が現代においては存在しています。個別最適で一つ一つを上手く改善していっても、全体から見るとどうもしっくりこない、何かが違う気がする・・・。そういった課題を解決する方法の一つが、パターン・ランゲージです。
単純に「全体はこうでした」と解剖して理解してそれで終わりにするのではなく、「いきいきとした全体」をどうやって作り上げていくのか?展開していけるのか?といったことを考えるのがパターン・ランゲージの役目とのことです。
なんと、iTunes Uで無料でパターン・ランゲージの講義が見れてしまう
そういったトピックを扱っているクラスが慶応SFCにあるのですが、なんと、iTunes Uで無料で見れてしまいます。
「パターン・ランゲージ」で検索すると、クラスがヒットします。2012年の授業が最新のようなので、僕は今これを一通り見ようとしているところです。参考までに、目次を転載しますね。
- イントロダクション
- 生き生きとした全体について語り合う
- 建築におけるパターン・ランゲージ(1)
- 建築におけるパターン・ランゲージ(2)
- 建築におけるパターン・ランゲージ(3)
- パターン・マイニング
- パターン・ライティング(1)
- The Nature of Order鼎談【補講:10/29休講分】
- The Nature of Order鼎談【補講:11/12休講分】
- パターン・ライティング(2)
- 魅力があり、想像力をかきたてて、人を動かすことばをつくる
- ライターズ・ワークショップ(1)
- ライターズ・ワークショップ(2)
- プレゼンテーション+総括
大学の授業が無料で丸々見れてしまうなんて、しかし凄い世の中になったなーと思います。別にちょっとぐらい、有料でも良いのではと思うんですけどね。有料で配信する分、学費を下げてくれれば、子供の教育費負担がもう少し軽減されるんじゃないか、なんて、かなり余談ですが・・・。
様々な技術的なトピックなども、上手くパターン・ランゲージでまとめていけるようになるといいな、と思っています。
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