DevLove2012が自分戦略で随分盛り上がっていたらしいので、僕も自分戦略について生々しく振り返ってみようかと思いました。綺麗な自分戦略は語りつくされていると思うので、ドロドロした感じで行こうかと思います。
自分にとって大事なこと
まず、自分にとって大事なことは何でしょう? このポイントさえおさえられれば、とりあえずは良いかなと思えるポイント。僕にとっては次の3つが、とても大事なポイントでした。
- 人に自慢できるようなソフトウェアの開発を続けられること。
- ソフトウェア開発に限らず、新しいことに挑戦し続けられること。
- 家族が路頭に迷わないこと。
それはつまり、
- 仕事の自慢はしたいです(ドヤッ
- 作ったものの自慢もしたいです(ドヤッ
- 気になる事にはフットワーク軽く挑戦したいです(ドヤッ
ということ。つまり、常にドヤ顔しつつ(できるような状況にありつつ)家族も幸せにしたい。それは持続的に収入を得ながら、更には充実した仕事をし続けたいということです。このご時世、かなり贅沢な生き方かも知れません。しかし自分の人生は自分で切り開くしかないんですよね。そこで僕がとっていたのは、持続的ドヤ顔戦略でした。
持続的ドヤ顔戦略とは?
持続的にドヤ顔をすることができる戦略です(ドヤッ
自分がやりたい事をやりつつ持続的に生活し続けるためには、次の3つのポイントをおさえる必要があるのではないか?と考えたのです。
- 会社ではなく自分の名前でお客様とお付き合いできること。
- お客様の要求に自分一人で応えられること。
- お客様とは案件ベースでなく継続的にお付き合いできること。
何故この3つのポイントを重要視するのかというと、
- お客様から選ばれるような人間でないと、そもそも持続的収入が得られるか怪しいと思えた(会社から切られたら即死)。
- 一般的に自分の力の及ぶ範囲が狭ければ狭いほどドヤ顔からは離れます。技術選択の裁量がなくなると悲劇です(「でもしょうがないよね、仕事だから」はドヤ顔から程遠い場所にいます)。
- 持続性を考えるとストックビジネスが望ましい。
というのが理由です。外部環境にできるだけ左右されず、自分の力及ばないところで起こる問題の発生を極力おさえ、かつ持続的に生活できドヤ顔をし続けるためには、いかに一人でも多くの人と持ちつ持たれつで信頼関係を結んでいくかが重要だと思うのです。直接誰かのお役に立てる人生って素敵です。
一般的にこのようなことを実現している人をフリーランスと呼びますが、今はそれとは違う形で、実現に近づいているような気がします。何故こういった考えに至ったのかも含めて、これまでの生き方を振り返ってみようかと思います。
SIer時代
高校中退してウェブデザイナーをやっていた僕は中小企業にトラウマがあったので、大学の就職活動では、
- そこそこ大きい会社
- やっぱりIT系しか僕には向いていない気がしたので、IT系
- 親会社からの天下りがなく、学閥も少なく、頑張ればそこそこ出世できそう
この3点をベースに某独立系SIerへの入社を決めました。とはいえ大企業と取引するのは大企業、お客様からバイネームでの信頼を得るのは、若輩者にとってはかなりのハードルでした。加えて配属された現場では「会計」というド業務系システム開発(ERP導入)を主体にしており、入社から3年が経とうとしていた頃には、ここから何者かになろうとするにはもはや公認会計士にでもなるしかないんじゃ・・・というグルグル感が僕を襲っていました。業務系システムの設計は、何よりも潤沢な業務知識がモノを言うのです。
しかし、「もう公認会計士にでもなるしかないんじゃないか?」という疑問はある種、ヒントでもありました。
- 公認会計士は会計上の疑問に必ず答えられるプロフェッショナルである(と思う)。
- 公認会計士の仕事は会計監査なので、同じ企業と継続して付き合い続ける(と思う)。
つまりプロフェッショナルであり継続的にお客様と付き合い続けられる職を、僕は無意識に「安定している上にやりがいがありそう」と感じていた訳です。これが持続的ドヤ顔戦略の原型でした。このような形で仕事ができる体制を自分の中に作らないと、きっとそのうち行き詰まるだろうという危機感を感じ始めていました。プロジェクトで出会うERPコンサルの人がみんな公認会計士だったのも僕の不安に拍車をかけた訳です。
果たして、自分は何に向いているのか?
幸いにも(?)僕には会計の才能が皆無だったので、公認会計士という選択を取ることはできませんでしたが、このままの状態で居続けるのは危ないと感じていました。そうは言っても向いてないという理由だけで諦めるのは嫌だったので、何十冊と専門書籍をインプットしたりしたのですが、あまり芽が出ない。業務系システム開発をやっているのに業務に関わる知識の才能がないのは致命的です。そろそろ配置転換を求める時期だと感じていましたが、じゃあ自分に何ができるのかというと、どうなんだろう?と思った訳です。
- もはや会計のプロフェッショナルにはなりえない。無理。
- でもソフトウェア開発については必要以上に勉強しているし、好きな分野。
- PL/SQLのプログラムを組んでいるはずがそれをジェネレートするRubyスクリプトを書いているぐらいである。
- よく考えたら中学生の頃からプログラムを組んでる。
どう考えてもズブズブのエンジニアです。本当にありがとうございました。
当時関わっていたシステムはどれも凄く貴重な経験をさせてくれて、そういった経験は、今となってはもはや財産です。でもバージョン管理がExcelだったり、SQLがコメントアウトだらけだったり、Excel方眼紙の印刷レイアウト調整で朝を迎えたり、そういった開発標準になかなか抗えない中、自分が生きていきたいと思っているフィールドとの違いも感じさせてくれました。
とはいえエンジニアでありながら公認会計士のようなモデルで仕事ができるなんて、どんなやり方なんだろう。単なる配置転換で達成できるピボットでもない。実現できるとしたら、フリーランスぐらいかなぁ。でもフリーランスやるには生きてきた畑が違いすぎるなぁ・・・どこかで修行するしかないかな・・・等と、これまたグルグル考えていました。実はもう時既に遅しで、何かと観念するしかないのではないか?とも感じ始めていました。
運が良かった
そんな中で今の勤め先であるソニックガーデンに出会ったのですが、これまた大変運が良かったのです。
- 納品のない受託開発モデルが持続的ドヤ顔戦略にマッチしていた。
- 生産性を高めた上で余った時間を自社サービス開発に使うという発想も、持続的ドヤ顔戦略にマッチしていた。
- 当時ソニックガーデンは社内ベンチャーだったので、倉貫社長と会話する障壁がかなり低かった(同じ会社だし)。
- 何故かRailsは知ってた。
そもそも社内ベンチャーであるソニックガーデンが受託開発もやっていたことを、この時倉貫社長と会って話して初めて知ったのですが、このビジネスモデルを聞いて「こんな考え方があるとは・・・」と、納品する受託開発をしていた身としては衝撃を受けたのでした。自分の実現していきたい生き方とマッチしていたので、半年間の交際を経て、ソニックガーデンが独立したのとほぼ同時期に転職しました。
自分戦略とは自分自身のビジネスモデルを意識すること
ソニックガーデンとの出会いは偶然でしたが、出会いを活かせたのも、自分自身のビジネスモデルを漠然とでも思い描くことができていたからかも知れません。自分が大切にしていること、なりたい姿、こうしたことを常に持ち続ける事で、適切なチェンジができるのではないかと思います。

そういえば「ビジネスモデルYOU」という本が最近出ていたので、衝動買いしました。まさに自分自身のビジネスモデルを考えなおすという本で、自分戦略に悩んでいる方には、是非手にとって頂きたい逸品です。
最後に僕自身の話に戻りますが、もちろん「転職できてよかったね!もう悩むことなんてないね!」なんてことはなくて、今でさえ理想はもっと遠い場所にありますし、実現のために日々努力しています。理想なんてどうせ叶わないものなのであるならば、楽しんで目指せる状況に自分を置くことが、何よりも大事なことなのではないでしょうか。「自分戦略」と言うだけあって、かなり自分本位な感じになってしまいましたが、どなたかのご参考になれば幸いです。